2024-05-29

脈の反転

腹部調律整体においての醍醐味は色々あります。
単純にお腹が温かい事や柔らかい事は気分も落ち着き、同じ床に寝ている状態でもリラックスの度合いがまったく違います。それだけでも値打ちがあります。
胃が温かくリラックスしていると消化も良さそうですね。お腹がゴロゴロ活発に動くだけで気持ちが良いものです。

そもそも整体は「落とす技術」とも言います。
「落とす」とは言ってみれば「真のリラックス」と言えば分かりやすいでしょうか。お腹が温かく柔らかい事はとても原始的なリラックスであり、生命の根幹にアクセスする整体において「お腹」はとても重要な部分です。私自身も腹部調律整体は得意であると同時にとても好きな整体です。お腹が充実して行く手応えは施術している側もとても気持ちの良いものです。
腹部の整体においてポイントになるのは「呼吸」です。
皆さんのお腹も呼吸に応じて膨らんだり萎んだりしますよね。お腹と呼吸は連携してとても仲の良い存在です。
しかしこの連携が上手く行っていないお腹があるのです。それが様々なトラブルの象徴であり、
「腹に全部出とる」というキャッチの元にもなっています。
腹部調律では様々な事をしますが、この呼吸とお腹の連携を調整する事は重要な目的の一つです。

施術者の技量として、まずはマッサージ的にお腹を物理的に緩める。次に呼吸の誘導。その誘導によってお腹を温める。という順番があります。
整体を志す人にとって腹部での呼吸の誘導は目指すべき技術でしょう。
相手の呼吸を読み、先回りして誘導して行く。見事に呼吸が深まり柔らかくなったお腹はご本人よりも施術者が満足するものです。
息を吸うとお腹が大きくなり、息を吐くとお腹が小さくなる。当然お腹に手を入れて行くとその呼吸に応じてお腹と手の圧力が変わります。この圧力を誘導して行く事で呼吸が苦しくなったり楽になったりします。
苦しい圧力の後に楽になるとご本人はホッとします。そのホッとした時に様々なリラックス現象がありますので、それらを利用して最終的に呼吸を深く誘導します。
お腹と呼吸の関係が悪くなった事には「理由」がありますので、その関係を是正する事で大元の「理由」も是正して行くのです。

この様に腹部調律整体では普通は「呼吸」がテーマとなり、この領域で一般的に多くの整体が行われています。
しかし呼吸だけでは問題が解決しないお腹があるのです。
呼吸はよく「最終目標」に挙げられるぐらい重要で意味の深い項目ですので、呼吸だけでは取れないお腹とはそれ以上に重要で深い領域での対応を待っているお腹という事になります。
呼吸よりも重要で深いものってなんでしょうか? それは「脈」です。

「脈」とはあの「ドクンドクン」と言っている脈です。
お腹の中にも脈打っている箇所が沢山あります。それを取りに行かないと整わないお腹もあるのです。
呼吸の時は「呼吸の誘導」という技術でお腹を充実させて行きますが、脈はどうするのでしょうか?
呼吸はまだ何となく誘導できそうですが「脈の誘導」?そんな事できるの?
脈って心臓の鼓動だから、そんなもの誘導ってできるのだろうか?
そうです。脈は誘導するのではなく「反転」させます。
脈を反転させるなんて大丈夫かと思いそうですが、具体的には「その脈を認めない」「その脈は間違っている」という意思を伝える作業になります。

お腹に集まっている「脈」とは、それは「血を集めている」事を意味します。
人の体が「血を集める」時とは「変わりたい時」です。その脈打っている部分を変えようと必死で血を集めているのです。しかしご本人が何らかの主訴を持って整体に来るという事は、その変革が上手く行っていないという事です。血は集めているが、その血を上手く使えていない状態。
だからその脈は失敗しているのですが、体は一回集めた血をどうして良いか分からないのです。血を集めたは良いけど、どうも有効には使えない。解散する事もできない。
そういう状態には誰かが「この血を集めた集会は失敗です」「解散します!」と言い出さないといけない。しかし誰も言いたがらない。だから私が仕方なく言いに行くのです。そういう仕事です。これが腹部の脈取りです。

しかしなぜ集めた血は有効に使われなかったのでしょうか?
それは「勘違い」したからです。ここに血を集めれば状況が良くなると思い込んだのです。しかし勘違いで集めただけですので本当に有効には使えません。勘違いなので、集めた事そのものの失敗も認めにくいのです。
勘違いしたのは肉体ですが、その肉体を唆した(そそのかした)のはご本人の思考(欲)です。
しかし今は集めた血の解散が先決なので、とにかく脈を反転させます。
無駄な”集会”が解散されるととてもスッキリしそうなのは想像に容易いでしょう。
そこで初めてご本人も「あの集まりは無駄だった」と認めるものです。
お腹の中ではそんな「勘違い」や「集会」、「間違っているのに言い出せない」「解散した途端に皆んなが手のひら返しで認める」みたいな、人間社会で起こっている事がそのままあります。
「腹に全部出とる」のです。


ちなみに、人の「力」は
筋肉の力
呼吸の力
脈の力
の順に強くなります。見た目で動く大きさと反比例します。
腕を動かす筋肉を止めにかかる事は誰でもできます。
相手の鼻口を手で塞いで呼吸を止めにかかる事も簡単ですね。物理的にアプローチすれば良いので。
しかし脈を止めにかかるには、そもそも脈の動きは小さいので見つけるのが大変だし、止まった事の確認も分かりにくいですよね。その脈が力的には一番強いんだから余計に厄介です。
だからこそ、その人を裏で密かに動かしているのです。
いつも、どんな時も、どんな事柄でも、それを実際に動かしている真の力とは、見た目では動きが見えにくい存在なのです。
そんな存在に「間違っていますよ」と言い行く腹部調律整体は、とてもとても楽しいのです。

体から出てきた言葉を書いて行こうと思います。 読んでくださってありがとう。

奥中伸
奥中伸
平成15年5月より奈良県大和郡山にて開業。奥中式腹部調律整体を中心にして体から余計な力を排除し、骨格を正して重力と親和させます。生きていくのに本当に必要なものは自分の中から湧き上がる。お問い合わせはお問い合わせフォームよりお願いいたします。
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